ビジネス·
出店の商圏を半径で考える:一次商圏・二次商圏と業態別の距離
店舗の商圏を半径で捉えるための基準をまとめました。一次商圏・二次商圏の考え方、コンビニの業態別商圏、カフェの客単価と商圏の関係まで。
本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
新しく店舗を出すとき、あるいは既存店舗の集客戦略を考えるときに欠かせないのが「商圏(しょうけん)」の把握です。 「うちのお客さんはどの範囲から来ているのか」「どこにチラシを撒くと効くのか」を考えるには、 まず半径ベースで一次商圏・二次商圏を地図に落とすのが第一歩。 この記事では業種別の商圏目安と、circle-mapを使った商圏分析の手順を紹介します。
一次商圏・二次商圏・三次商圏とは
商圏分析では一般に、お客さんが来店する頻度や距離で 3 段階に分けて考えます。
- 一次商圏: 来店客の 50〜60% を占める中心的なエリア。日常的に何度も訪れる距離。
- 二次商圏: 来店客の 25〜30%。たまに利用する、目的があれば足を運ぶ距離。
- 三次商圏: 残りの 10〜20%。特別な目的(イベント・口コミ)で来る遠方の客。
この 3 つを同心円で地図に描くと、出店判断や販促費の配分が見える化されます。
- 500m · 一次商圏来店客の50〜60%。日常的に何度も訪れる距離。
- 1km · 二次商圏来店客の25〜30%。目的があれば足を運ぶ距離。
- 2km · 三次商圏残りの10〜20%。イベントや口コミで来る遠方の客。
業種別・商圏半径の目安
業種ごとに「日常使い」か「目的来店」かで商圏の広さが大きく違います。一般的な目安をまとめます。
日用品・食料品系(コンビニ・スーパー・薬局)
- 一次商圏: 半径 500m
- 二次商圏: 半径 1km
- 三次商圏: 半径 2km
毎日〜週数回利用するため、徒歩・自転車で行ける距離が中心。
飲食店(カフェ・ラーメン店・居酒屋)
- 一次商圏: 半径 500m〜1km
- 二次商圏: 半径 2〜3km
- 三次商圏: 半径 5km
立地と業態次第。話題性のある店は三次商圏が広く伸びる。
美容室・サロン・整体
- 一次商圏: 半径 1〜2km
- 二次商圏: 半径 3〜5km
- 三次商圏: 半径 10km
指名スタッフがいると遠方からでも来店する傾向。
ロードサイド型(ホームセンター・ファミレス・大型書店)
- 一次商圏: 半径 3km
- 二次商圏: 半径 5〜7km
- 三次商圏: 半径 10〜15km
車での移動が前提なので商圏が広く取れる。
ショッピングモール・大型商業施設
- 一次商圏: 半径 5km
- 二次商圏: 半径 10km
- 三次商圏: 半径 20〜30km
休日のドライブ目的地として広域から集客。
circle-map での商圏分析手順
- 店舗予定地の住所を検索欄に入力(または地図でクリック)
- 業種に応じた半径を入力。例:飲食店なら
0.5、1、3、5(km) - 同心円が描けたら、URL コピーで共有可能なリンクが取得できる
- そのリンクを国土地理院の人口統計地図や Google マップ(競合店検索)と並べて表示
商圏分析で見るべき 4 つのポイント
- 商圏内人口: 一次商圏に何人住んでいるか。総務省「e-Stat」で町丁目別人口が確認できる。
- 競合店の位置: 同業種が一次・二次商圏内にいくつあるか。Google マップで「業種名」検索。
- 動線: 主要道路・駅から店舗までの導線。半径内でも道がつながっていないと意味なし。
- 同類施設の有無: 学校・オフィス・病院など、来店動機になる施設が近くにあるか。
商圏内人口の調べ方
商圏範囲が決まったら、その範囲に住んでいる人口を把握します。 日本では公的統計データが豊富に公開されており、無料で確認できます。
- e-Stat(政府統計の総合窓口): 国勢調査・経済センサスの町丁目別データ
- jSTAT MAP: e-Stat の地図 GIS 版、半径円内人口が簡単に算出できる
- RESAS(地域経済分析システム): 経済産業省の自治体・産業分析ツール
- 市区町村の統計ページ: 自治体独自の人口・世帯データ
顧客導線の分析
商圏内人口が十分でも、店舗まで「来やすい」かは別問題。 以下の動線分析が重要です。
歩行者動線
- 駅から自宅・職場への通勤路
- 主要道路の歩道幅
- 商店街のアーケード
- 公園・学校・病院など定常立寄り先
車両動線
- 主要幹線道路の通行量
- 右折での入店可能性
- 駐車場の入口位置
- 近隣の信号タイミング
商圏分析のよくある失敗
- 「人口が多いから繁盛する」と思い込む: 競合店も多い可能性
- 休日のリサーチだけで判断: 平日の通行量・客層と全く違うことがある
- 「川向こう」「線路向こう」を同商圏と見なす: 物理的・心理的バリア
- 視認性を軽視: 看板が見えない立地は通行量があっても集客できない
- 競合の撤退理由を調べない: 同じ場所で別業態が撤退している場合は要警戒
注意:直線距離の商圏は粗い目安
circle-map の同心円は直線距離です。実際の商圏は道路網・河川・線路・標高差で歪みます。 本格的な商圏分析では「車での到達時間」をベースにした到達圏(タイムゾーン)分析が使われます。 ただし、まずは半径ベースで「ざっくり感」を掴むだけでも、出店候補地の比較や販促エリアの仮説立てには十分役立ちます。
まとめ
- 商圏は一次(来店客 50〜60%)・二次(25〜30%)・三次(10〜20%)で考える
- 業種で半径目安は大きく異なる(コンビニ 500m vs モール 5km)
- circle-map で複数半径の同心円を描いて、まず「目で見て確認」
- 商圏内人口・競合・動線・同類施設の 4 観点で深掘り
実際に商圏地図を描いてみる:circle-map で出店候補地の商圏を可視化 →
セブン-イレブン・ファミリーマート・ローソンの3大コンビニチェーン。 街を歩けば100m おきに見かけるイメージですが、実際の商圏は何メートルなのか。 FC オーナーになりたい人、店舗開発に関わる人、不動産投資で土地活用を考えている人向けに、 コンビニ商圏のデータと出店判断の鉄則を整理しました。circle-mapで実際の商圏を可視化する手順も最後に紹介します。
コンビニ商圏の基本データ
コンビニ各社が公開している、または業界レポートでよく引用されるデータ。
- 一次商圏: 半径 300〜500m(来店客の60〜70%を占める)
- 二次商圏: 半径 500m〜1km(来店客の20〜25%)
- 三次商圏: 半径 1〜2km(来店客の10〜15%、車利用客が中心)
これは住宅街型コンビニの数字。 オフィス街・駅前・ロードサイドではかなり異なります。
- 500m · 一次商圏来店客の60〜70%。住宅街型ならこの範囲が中心。
- 1km · 二次商圏来店客の20〜25%。
- 2km · 三次商圏来店客の10〜15%。車利用客が中心。
立地タイプ別の商圏特性
住宅街型
- 商圏: 半径 300〜500m
- 客層: 周辺住民、ファミリー、高齢者
- ピーク時間: 朝(7〜9時)、夕方(17〜20時)
- 強い商品: 弁当・惣菜・日用品・公共料金支払い
オフィス街型
- 商圏: 半径 200〜400m(徒歩圏のみ)
- 客層: 周辺オフィスワーカー
- ピーク時間: 朝(7〜9時)、昼(11〜14時)
- 強い商品: 弁当・サラダ・コーヒー・ATM
- 注意: 平日のみ稼働、土日売上はガタ落ち
駅前型
- 商圏: 駅利用者全体(半径での測定が難しい)
- 客層: 通勤・通学客、駅利用客
- ピーク時間: 朝(6〜9時)、夕方(17〜21時)
- 強い商品: 飲料・タバコ・お菓子・週刊誌
ロードサイド型
- 商圏: 半径 2〜5km(車利用前提)
- 客層: 通行車両のドライバー、近隣の車所有世帯
- ピーク時間: 平日朝・夕、土日終日
- 強い商品: 飲料・タバコ・カップ麺・ガソリン
- 必須要件: 駐車場(5台以上)、視認性、出入りしやすい立地
観光地型
- 商圏: 観光客の流動人口
- 客層: 観光客中心、地元利用は少ない
- ピーク時間: 観光シーズン、休日
- 強い商品: 飲料・お土産・地域限定商品
出店判断の3大要素
1. 商圏人口
住宅街型コンビニで黒字化に必要な目安は:
- 一次商圏(半径500m)内に 3,000人以上 の居住人口
- 世帯数で 1,200世帯以上
- これより少ない場合は他要素(通行量・競合)でカバーする必要
商圏人口は総務省「e-Stat」で町丁目別人口データが無料で見られます。
2. 競合店の距離
同チェーン同士の距離規制(テリトリー保護)は各社で異なります。
- セブン-イレブン: 一般に半径 300m 以内に同チェーン出店なし(独自ルール)
- ファミリーマート: 同様の地域保護あり、ただし合併経緯で変動
- ローソン: テリトリー保護はあるが緩め
他チェーンとの距離は規制なし。実際に「同じ交差点の四隅にコンビニ4軒」という風景も。
3. 通行量・視認性
- 歩行者通行量: 1日 5,000人以上が目安(住宅街型)
- 車両通行量: 1日 10,000台以上が目安(ロードサイド型)
- 視認性: 看板が50m手前から見える、入口が分かりやすい
- 動線: 駅から自宅への帰路、通勤路の途中などの「ついで動線」
新規出店のリアル
FC として参加する場合の代表的なコスト感:
- 加盟金: ¥150万〜¥300万(各社・契約タイプによる)
- 準備資金: ¥150万〜¥300万
- 毎月のロイヤリティ: 売上総利益の30〜60%(チャージ率)
- 店舗賃料: 立地により大きく異なる
近年は新規出店より統廃合が進んでおり、 2020年以降は店舗数横ばい〜微減の傾向。 「コンビニ飽和時代」と言われる中、新規 FC 募集は減少傾向です。
不動産活用としての視点
土地オーナーとしてコンビニに貸す(事業用定期借地)場合:
- 立地条件: 角地、視認性、駐車場含めて150坪以上が目安
- 賃料: 月¥30万〜¥100万(立地次第)
- 契約期間: 20〜30年の事業用定期借地が一般的
- リスク: 契約満了後の建物撤去義務、業態転換不可
circle-map での商圏可視化
- 出店候補地を地図クリックまたは住所検索で指定
- 半径欄に
0.3(一次商圏)/0.5(拡大一次)/1(二次商圏) - その円内の競合コンビニ位置を Google マップで確認
- e-Stat で商圏内人口を調査
「ない街」と「過密街」の特徴
コンビニが少ない街
- 人口密度が低い(半径500m内に2,000人未満)
- 住宅地と商業地の距離が遠い(用途地域の影響)
- ロードサイド型のスーパー・ドラッグストアで代用される
- 高齢化率が高く、現金以外の支払いが少ない
コンビニ過密の街
- ターミナル駅周辺(東京駅・新宿駅など)
- オフィスビル群(虎ノ門・大手町・梅田など)
- 大学キャンパス周辺
- マンション群
これからのコンビニ商圏
Amazon・ネットスーパー・ウーバーイーツなどの台頭で、 コンビニの「徒歩圏で全部買える」優位性は薄れています。 逆に強化されているのは:
- イートインスペース・テレワーク利用
- ATM・公共料金・宅配受取の決済ハブ機能
- 店舗内厨房での揚げ物・コーヒー
- 高齢者向けの徒歩生活インフラ
商圏判断も「物販の引き」だけでなく 「決済・サービスの引き」を組み合わせて考える時代になっています。
まとめ
- コンビニ一次商圏は半径300〜500m、住宅街型の場合
- 立地タイプ(住宅・オフィス・駅前・ロードサイド・観光地)で大きく異なる
- 出店判断は「商圏人口×競合距離×通行量」の3要素
- 新規出店は減少傾向、土地活用として貸す場合は契約期間に注意
- circle-map で半径地図を描き、競合と人口を組み合わせて分析
コンビニ商圏を地図で可視化:circle-map で出店候補地の商圏を確認 →
本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
カフェ開業は人気の独立スタイルですが、コーヒー1杯500円のビジネスを継続させるには 立地戦略がほぼ全てを決めます。 スターバックス・ドトール・タリーズ・コメダ・個人店、それぞれが どんな商圏戦略を採っているのか。 客単価と商圏半径の関係を整理し、自分の出店判断に活かせる枠組みを提示します。circle-mapでの競合店プロット手順も末尾で紹介。
カフェ商圏の3つの軸
カフェの商圏は3つの軸で評価できます。
- 客単価: 300円(個人喫茶)/ 600円(チェーン店)/ 1,200円(高級カフェ)
- 滞在時間: 10分(テイクアウト)/ 30分(休憩)/ 90分(作業・読書)
- 来店頻度: 週5回(通勤途中)/ 週1回(週末)/ 月1回(イベント)
この3軸の組み合わせで、必要な商圏人口と立地が変わります。
- 500m · 徒歩商圏駅前型の中心。同価格帯の競合が何軒あるかを数える範囲。
- 1km · 駅前型の外縁徒歩12分前後。ここを超えると「わざわざ行く店」になる。
- 3km · ロードサイド型車利用が前提。駐車場の有無が来店可否を決める。
チェーン店の戦略
スターバックス
- 客単価: 600〜800円
- 滞在時間: 30〜90分(作業・打合せ)
- 商圏: 半径 500m〜1km(駅前型)、3km(ロードサイド型)
- 立地: 駅前一等地、ショッピングモール、オフィス街
- 強み: ブランド力、Wi-Fi、電源、コミュニティ感
ドトールコーヒー
- 客単価: 350〜500円
- 滞在時間: 10〜30分(休憩中心)
- 商圏: 半径 300〜500m
- 立地: 駅前、商店街
- 強み: 価格、回転率の高さ
タリーズコーヒー
- 客単価: 500〜700円
- 滞在時間: 30〜60分
- 商圏: 半径 500m〜1km
- 立地: スタバを避けつつ駅前・モール内
コメダ珈琲店
- 客単価: 800〜1,200円(モーニング含む)
- 滞在時間: 60〜120分
- 商圏: 半径 1〜3km(車利用前提)
- 立地: ロードサイド、住宅街の中の単独店
- 強み: 駐車場、回転率より顧客満足、長時間滞在歓迎
サンマルクカフェ
- 客単価: 400〜600円
- 滞在時間: 20〜45分
- 商圏: 半径 500m
- 立地: 駅近・ビル1階
個人カフェの戦略パターン
個人経営のカフェは、チェーンと真っ向勝負しても勝てません。 以下のどれかで差別化する必要があります。
パターン A: 目的来店型(半径10km+)
- 客単価: 1,200〜2,500円
- 強み: 独自のメニュー、店主のキャラ、世界観
- 立地: 一等地である必要なし、駅から徒歩15分でもOK
- 集客: SNS(特に Instagram)、口コミ
- 例: 一軒家カフェ、古民家カフェ、ブックカフェ、シアターカフェ
パターン B: 地域密着型(半径500m)
- 客単価: 500〜800円
- 強み: 顔の見える接客、常連との関係、地域コミュニティの場
- 立地: 住宅街の中、商店街の路面店
- 集客: 地元口コミ、町内会、SNS
- 例: モーニング喫茶、純喫茶、住宅街の自家焙煎店
パターン C: 専門特化型(半径3〜5km)
- 客単価: 800〜1,500円
- 強み: 特定ジャンルに特化(スペシャルティコーヒー、エスプレッソ、ハンドドリップ)
- 立地: 駅徒歩5〜10分、賃料抑えめのエリア
- 集客: コーヒー好きコミュニティ、専門メディア
- 例: ロースタリー、サードウェーブカフェ
パターン D: テイクアウト特化型(半径200m)
- 客単価: 400〜700円
- 強み: スピード、回転率
- 立地: 通勤動線、駅構内、オフィス街
- 集客: 立地そのもの
- 例: 移動式コーヒースタンド、駅ナカブース
商圏内の評価項目
どのパターンを採るにせよ、商圏内で以下を確認:
- 競合密度: 半径500m に同価格帯のカフェがいくつあるか
- 商圏人口・属性: 一次商圏の世帯数、年齢構成、職業構成
- 通行量: 平日昼・平日夜・休日昼の各時間帯
- 動線: 駅・スーパー・公園・図書館などとの位置関係
- 周辺施設: オフィス、学校、病院、ジムなどの「待ち時間需要」
失敗パターン3選
1. 立地はいいが家賃が高すぎる
駅前一等地は人通り多いが家賃も高い。 客単価600円のカフェで月家賃50万なら、 営業日 25日 × 客数 80人 × 単価 600 = 月売上 120万のうち 家賃比率 42%。原価・人件費を引くと赤字確定。
2. 想定客層と立地が合わない
「おしゃれな高級カフェ」を住宅街で開業 → 平日昼に来る客がいない。 「サードウェーブのこだわりロースタリー」を高齢者比率の高いエリアで開業 → 客が育たない。
3. 競合の影響を見誤る
スタバ・ドトールの斜め向かいで開業 → 価格競争では勝てない。 差別化が中途半端だと両店に客を取られる。
circle-map での商圏分析手順
- 出店候補地を地図クリック or 住所検索で指定
- 半径
0.3(テイクアウト圏)/0.5(駅前型一次商圏)/1(拡大商圏)/3(ロードサイド型・目的来店) - Google マップで「カフェ」検索 → 各円内の競合数をカウント
- e-Stat で商圏内人口・世帯構成を確認
開業前の最終チェックリスト
- 商圏内に明確な顧客像があるか(◯◯さんが朝来る理由)
- 同価格帯の競合が3軒以内か
- 家賃が想定売上の15%以下か
- SNS で発信できるストーリー・世界観があるか
- 1年分の運転資金が手元にあるか
- 競合が真似できない強みが1つ以上あるか
まとめ
- カフェ商圏は客単価×滞在時間×来店頻度で決まる
- チェーン店は半径300m〜1kmの密度勝負、コメダ系は半径3kmの目的来店
- 個人カフェは差別化(目的来店・地域密着・専門特化・テイクアウト)が必須
- 家賃比率15%以下が黒字化の目安
- circle-map で半径地図を描き、競合密度を可視化
カフェ出店候補地の商圏を可視化:circle-map で出店地の商圏分析 →